コロナと日本ビジネスアビエーション業界の現状

コロナと日本ビジネスアビエーション業界の現状

 

新型コロナ感染症の影響で政府が「新しい生活様式」の基準を打ち出しています。公共交通機関の利用など「移動」に関しても触れており、今後我々の生活自体に大きな変化をもたらたすことが予想されます。

リモートワーク等の推進により、企業の事務所は都市圏に集中する必要性がなくなり、現在地方と呼ばれている場所でも遜色なくビジネスを営むことができるようになります。また、平日・休日の垣根がなくなり、サービス提供側また、顧客にとっても利便性が高まることが期待されます。各観光地でも顧客流入が平準化され、オフピークの稼働率の向上等、いざ書いてみると良いことばかりな気がしてきました!いわゆる「地方創生」に大きく寄与することでしょう。

しかし今の日本の社会インフラはこれを前提に成り立っていないです。移動インフラ面においては、エアラインも東京⇔地方間ルートの本数が最も多く、新幹線も大都市を経由するルートで成り立っています。地方間を結ぶルートは数が限られています。企業の事務所や観光地が本当に日本全国に平準化され、立地されていくとなると、今の交通機関のビジネスモデル自体変化が必要なることは明白です。一般的に交通機関の収益モデルとして、いかに大きな箱を満員にして、需要が高いゴールデンルートを、ガンガン運航することで稼ぐことが前提となっています。仮に全国の空港間のルートがすべて同じ需要となった場合、エアラインが導入する機体はもっと小さくなるでしょう。

 

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新しい土地を求めて冒険する、新しい人と出会う、今まで味わってことが無い魂を揺さぶる究極のexperienceを求める、といった人間本来の本能は、コロナ後の世界でも変わることはありません。冒険の手法や過程が変わったとしても・・・。失礼しました。

business aviation

 

さて多少強引に話しを変えますが、上述したような小回りが利くのような飛行機って日本でも乗れるのでしたっけ?結論、日本でも乗れます!この業界のことをビジネスアビエーションだったりゼネラルアビエーションと言います。

「アビエーション」という言葉は日本で耳慣れないと思いますが、直訳すると航空機産業のことを指します。その中でも軍事航空と、定期航空路線(エアライン)を除いた航空の総称のことを「ゼネラル・アビエーション(general aviation)」と言い、主に不定期便であるビジネスジェットや小型航空機に関する事業もこれに属します。ビジネスアビエーションという言葉もほぼ同義で使われています。航空機製造メーカーや、運航会社(チャーター便やパイロット養成等)、FBO(空港においての運航支援事業者)、チャーターブローカー(仲介)などが構成する事業会社です。

特に飛行機といったら、JALやANAのエアライン会社しかイメージが湧かないかもしれません日本においてもこの市場は存在します。民間機の日本の航空機製造メーカーは現状存在しないですが、運航会社と言われる企業は複数存在します。運航会社は国土交通省航空局による許認可が必要となるため認可を受けている企業は航空局のWEB上に掲示されています。

■東京航空局管轄の航空運送事業者・航空機使用事業者一覧
https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/img/network/20200415zigyosya.pdf

■大阪航空局管轄の航空機運送事業者・航空機使用事業者一覧
https://ocab.mlit.go.jp/news/siyoujigyou/pdf/280901zigyousya.pdf

東京航空局管轄が37社、大阪航空局管轄が29社、計66社が存在します。その中で固定翼(飛行機)にて航空運送事業を行っている企業は東京管轄が12社、大阪管轄が19社の計31社。その中から国内定期運送事業者(フジドリームエアラインなど)を除外すると21社しかありません(2020年6月1日時点)。航空運送事業とは航空法によると「他人の需要に応じて航空機を使用し、有償で旅客又は貨物を運送する事業をいいます」。すなわちチャーター便等をビジネスとして第三者に販売する場合は航空運送事業者による運航がマストとなります。ちなに航空撮影や測量などは「航空機使用事業」です。航空機の運航は言わずもがなですが、安全性が第一ですので自家用機等で商売する(いわゆる白タク)は絶対に行ってはいけません。

 

SKYTREKはこの航空運送事業者が提供するチャーターフライトのプラットフォームであり旅行商品としてエンドユーザーに提供致します。白タクではないですが、ビジネスモデルとしてはタクシー業界におけるUberと似ています。

日本のビジネスアビエーション業界の成熟したアメリカのマーケットと比べて最も違うところは以下の数字の見ると一目瞭然です。

  飛行機 登録機体数 運航会社数 国内チャーター可能飛行機数※3

日本

1,383機 ※1 21社※2 20機程度
アメリカ 167,534機※1 1,931社※2 5,910機※1

※1 https://gama.aero/ GAMA Annual Report 2019 and 50th Anniversary Edition (March 20, 2020 Update)

※2 日本は航空局開示、固定翼航空運送事業者(国内定期便以外)
アメリカは 以下サイトより引用。https://privatejetcardcomparisons.com/part-135-charter-operators-and-private-jet-safety/

※3 ㈱SKYTREK調べ。訓練など複数ミッションで使われている飛行機も多いため、概算値。

 

日本とアメリカじゃ国土の面積が違うじゃないかという突っ込みも受けそうですが、例えばイギリスやフランスや日本よりも国土が狭いところや同水準の地域でも日本の10倍を超える航空機が登録されています。こういったビジネスアビエーション先進国でも、個人購入により利用が現在も大半を締めている状態です。要は元々は富裕層個人の移動手段として、定着していった産業です。無論日本でも一部の富裕層や企業が自家用利用として保有しているケースもありますが少ないです。プロペラがついていない民間のビジネスジェットの数でいうと2019年に65機※しかありません。(Asian Sky Group「Fleet Report YE2019」資料より)。

やはり飛行機を1機丸ごと所有して自分で飛ばす、ないしは運航会社に預けて飛ばしてもらうとなると莫大な維持管理費用がかかります。そこで登場したのがNetjets(https://www.netjets.com/en-us/)という会社。これはフラクショナルオーナーシップと言われる飛行機を区分所有して飛ばすモデル。機体毎に1/8など区分所有の割合を設定して飛んで良い時間が50時間や100時間など設定がされます。最近になって登場したのがアメリカのWheelsUp(https://wheelsup.com/)という会社。これはメンバーシップ制でシェアリングに近いモデル。主に中距離用のターボプロップ機中心に飛ばしています。入会金(約200万円)、年会費(約100万円)、都度フライト代(時間辺り45万円~100万円程度)と従来より低価格でチャーターのメリットが受けられます。2013年に創業してすでに6,000人以上のメンバー、100機程度の機体を運用しており、企業としてもユニコーンの仲間入りをしています。https://www.forbes.com/sites/douggollan/2019/09/24/unicorn-wheels-up-sees-a-future-being-valued-like-uber-or-amazon-and-it-may-have-a-point/#9f6317664592

Netflixのドラマ「Billions」でも度々登場していますね。

Wheels Upのポイントはガルフストリームなど大型のビジネスジェットを導入せず、小型~中型機を導入して、ショートレンジのフライトをサービスを提供したことによります。同社のCEOと面談した時に平均飛行時間は1時間~2時間程度なので距離にすると大体500km~1,000kmぐらいのフライトが中心だとコメントしていました。

要はエアラインだと便が無かったり少なかったりするルートを求めやすい金額でタクシーのように飛ばすというモデルです。長距離、例えばニューヨークからサンフランシスコへ給油なしで飛ばすためには大型ジェット機が必要になり、コストは何倍にも跳ね上がります・・・。一方、ヨーロッパだとStrataJet(https://www.stratajet.com/)という企業も出てきています。これは在庫を抱えない、プラットフォームとして色彩が強い会社です。

 

このように海外においてもいわゆるビジネスアビエーションのビジネスが活発化し始めたのも最近の話であります。日本においてはいくつかの要因で発展してこなかったようにもの思えます。戦後の航空産業の方向性であったり、いわゆる「贅沢」についての国民のマインドであったり、事業者側の高いコスト構造であったり、様々な理由があると思います。

正しい機材とビジネスモデルであれば、一部の資産家だけが体験できるものではなく、より多くの人にとって利用ができるサービスとなります。

特に新型コロナウィルスによって生活様式が変化していく現在、より不特定多数との接触が少ない、行きたいところにダイレクトに行ける飛行機チャーターを試してみる良い機会かもしれません。

 

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